December 19, 2011

San Juan Chamulaその1



San Cristobal de las Casasから、乗り合いのミニバスで15~20分くらい行ったところにSan Juan Chamulaという街がある。メヒコの高原地帯の町に長くいた私は、サンクリストバルデラスカサスについた時点ですでに、今まで訪れたことのあるメキシコの街の雰囲気の違い(建物や人々の様子)を感じていたけど、この街はもっともっと独特だった。この街については、一つの投稿ではまとまらないので数回に分けようと思う。まず今日は、教会のことを書くことにする。

メヒコには、スペイン人がメヒコにやってきて植民地にした歴史があるが、その際侵略するためにとられた手段の一つに、先住民の人たちをキリスト教に改宗させるというものがあった。そのため、メヒコはいまでも国民の90パーセントをこえる人たちがカトリック教徒なんだそうだ。しかし、その全てがヨーロッパのカトリックと全く同じというわけではない。もともと土着の宗教にあった神さまを、キリスト教の聖人たちにすり替えるということも行われていたそうだ。その中でも特に、この地域は土着の宗教の影響が色濃く残っていて、「教会が独特」というので有名というのを聞いたので、足を運んでみることにした。

教会の中は、神聖な場所なので撮影は完全に禁止であった。他の教会と比較しようとすると、一言で言えば「全部」といってしまいそうなくらいに違う。中に入ると、まずお香のにおいが鼻をつく。「教会の中は薄暗くて、そこにお香の煙がもくもくとしている」、という風に聞いていたのだけど、私が実際に受けた印象は、ずいぶんと明るくて、前情報との違いを意外に思ったほどだった。教会の内部が、妙に広く感じたのは、イスがほとんど置かれていなかったせいだろう。その代わりに、床一面に松がちりばめられていて、白い床に直に蝋をたらしてろうそくを何本も立てている様子も見受けられた。民族衣装を着た人たちがその場に座り込んで、雑談している人もいれば、お祈りをしている人もいる。教会の壁には、みたことがないくらいたくさんの聖人が、両サイドに並べられていた。その周りも、花で飾られたり、ろうそくが並べられたりしていた。

私が行ったときはちょうど、聖人の一人の衣装を交換する日だったらしく、その儀式のために楽器隊なども集まっていた。目にする光景の全てが不思議すぎて、質問したいことだらけだった。しかし、自分たちにとってとても神聖な場所に、こうして興味本位だけで教会に入られたりすることを好まない人もいるということを聞いていたから、なるべく質問したら快く答えてくれそうな人を選んで、声をかけた。質問して教えてもらったのは、次のようなこと。

教会には、聖人がたくさんいるけれど、その中でも特に4人の聖人が大切にされているらしく、それぞれにMayordomo(マジョルドーモ)と呼ばれる人がいるんだそうだ。おそらく、牧師さんの身分の高い人という感じだと思うが、Casa de Mayordomoという家があって、それぞれの聖人をそこに祀って守っているのだそうだ。その日衣装を交換する聖人も、儀式のあとCasa de Mayordomoまでみんなで送ることになっていて、音楽隊はそのために集まっていたのだ。それぞれの楽器は木でできていて、マラカスやギター、アルパと呼ばれるハープなどもあった。これらの楽器の音色がなんとも素朴で、同じメロディが繰り返し繰り返し、ゆっくりと演奏される。その人たちを先頭に教会を出て、Casa de Mayordomoの家までゆっくりと歩いていく。家に着くと、お香がさらに焚き増され、お祈りの言葉がささげられて、家の中は煙とお香の匂いに満たされて、なんとも不思議な雰囲気だった。お祈りの言葉は、スペイン語ではなくて、ツォツィル語というその辺りの言葉で、なにを言っているのか全く分からない。それがなおさら神秘的で、神聖な感じをあたえていた。家の中には祭壇があって、祭壇の周りはみかんの葉で囲われていた。これも、何ヶ月に1度交換されるんだそう。ものすごく貴重なものを間近で見せてもらって本当に感激だった。

December 18, 2011

San Cristobal de las Casas


旅の途中で、一度だけ更新した。メヒコは南部のChiapas州のSan Cristobal de las Casasというところからだった。

サンクリストバル デ ラス カサス。(サンクリストバルの家々)

この長い長い地名が私はメヒコに来た頃(から結構長い間)いうことができなかった。ローマ字で書いて、意味がわかればなんていうことない知名なのだが、カタカナで続けて「サンクリストバルデラスカサス」といわれると、ほげ~、である。言えない。しかし、その地名すら言えない場所に私は行ってみたかった。(くわしくは、前の日記参照。)

この写真は、自分が撮った中で気に入ってる写真の一つだ。サンクリストバルデラスカサスに早朝に着いて、宿探しが終わり、とりあえず街歩きでも、と思ってふらふら歩いていたときに見つけた市場で撮った写真である。

おばちゃんが、ニワトリをまるでバッグかのように、腕からぶら下げて道を往来しているのだ。今まで、ブタの顔が市場に吊るされていたり、ニワトリの足だけが山積みになったり、といった様子を見てきていたので、たいがいのことには驚かないだろうと思っていたのだが、これには面食らった。というか、「ちょ、ちょ、ちょ!!!え??」と自分の目を疑ってしまった。

「今のん、鳥?!」

と思わず、振り返って二度見三度見しておばちゃんが持っているものを確認してしまった。そんな、鳥バッグおばちゃんたちを観察していると、おばちゃんたちから声を掛けることもあるけど、道行く人のほうからおばちゃんに「鳥を見せてくれ」とみんなで鳥をああでもない、こうでもないと言いながら売買されていくのである。

市場の中には、いろいろなお店があり、奥のほうに入っていくと、鳥かごを置いてある店もあったので、おばちゃんたちはどこからともなく来ているわけではなく、その「鳥基地」から数羽見繕い、それをぶら下げてより人通りの多いところにきているようだ。しかし、この状態で鳥を買って、みんな家でさばいているんだろうか。まぁ、そうだろうなぁ。

これがサンクリストバルデラスカサスでみた最初の光景で、その日から私はこの町に約3週間滞在することになった。

久しぶりに



日本に戻って、早1ヶ月半くらいが経ちました。はやいもんです。「mexico no kurashi」を更新するのも久しぶり。日本にかえってくる前にしていた旅のことを全然書いていなかったので、そのことを小出しに書いていこうと思っていたのに、気がつけば放置……。時間があるので久しぶりに何か書こうと思う。時間のある人は、どうぞのぞいてみてください。

【写真】
大阪天王寺で見つけたJacarandaの木。メヒコでは春になったら一斉に紫の花が咲いて、日本の桜のようだった。