August 22, 2011

映画

この秋には、日本に帰る。というか、帰らんとならぬのっぴきならない理由があるのだ。今はこうして、なんとなくメヒコに居座り続けているのだけれど、「●月までに帰らないとだめ」という具体的な数字が出ているせいなのか、ものすごくメヒコへの想いが強くなっている今日この頃なのだ。私が、常々「メヒコはオモロイ」と言いまくり、メヒコを好きなことは、今さら改めていうまでもない。しかし、最近のこの「メヒコが好きだ」という気持ちは、メヒコにやってきた2年前のそれとは確実に変わってきていると思う。

その理由として、学校でメヒコの歴史やら文化を勉強しているということが挙げられる。その先生の専門が(大学の専攻)がメヒコの歴史だったので、かなり深く、そして広範囲のテーマにも精通していて、しかもマンツーマンなので、非常に恵まれた環境で勉強できている。メヒコの歴史は日本のそれとは全く質を異にしているので、興味深い。そして、良くも悪くもありえないことが平然と起こりえるのがこの国の特徴だ。日常生活でも日本では考えられないようなことが普通に起こるけど、歴史とか国家レベルでみても「ありえないことがありえている」のに、国がたくましく歩みを進めていることに驚かされる。

メヒコ国外から見たこの国のイメージは、大きく分けて2つだと思う。

一つ目は、「麦藁帽子、ひげ、ポンチョ、マラカスのおっちゃん、サボテン」というなんだか陽気で怠け者の人たちが暮らしていると言うもの。

二つ目は、「麻薬戦争でたくさんの人が死んでいる」というもの。

どちらも本当だが、それ以外にもこの国はたくさんの顔を持っている。しかし、それらは知られていないと思う。知るきっかけがないのも原因かもしれない。

それはさておき、最近メヒコに関連する映画を立て続けに観る機会があった。「Miss Bala」と「Sin Nombre(邦題:闇の列車、光の旅)」である。「Miss Bala」は、貧しい暮らしをする家族と麻薬組織を扱った映画で、「Sin Nombre」は、ホンジュラスからよりよい暮らしを求めてアメリカ行こうとする移民と、メヒコのギャングのことを扱った映画で、どちらもフィクションである。しかし、観終わったあとに抱く感想はどちらも「うーーーーん、ありえる。これは現実にも起こってるやろうな」であった。

どちらも、ショッキングな内容で、映画と言う娯楽としてみる分には「わ~、よく作られたストーリーだなぁ」と感心してしまうだろう。しかし、メヒコに暮らし、歴史や文化を勉強した今、これをただの「映画」として見ることは不可能に近い。こんなことが起こるなんてとんでもない、とは感じられない。そういう日常が存在しているだろうということを認めざるをえないのだ。そして、認めたうえで、こんなことが起こっていたんじゃだめじゃないかーー!!と言う正義感のような気持ちにかられても、何もできないし、問題があまりに複雑なことを改めて思い知らされるだけなのだ(どうしてそういう状況が存在するのか、歴史や背景を知ると驚くほどにreasonableで納得するしかないのだ)。

むちゃくちゃに暗い。しかし、メヒコのこのダークサイドを見せ付けられてなお、私はこの国が好きだと断言する。メヒコにきたばかりのときにこれらの映画を見せられて、「これ、フィクションやけど、日常に起こってることやで」と言われていたら、私は完全にメヒコにびびってしまうか、あるいは「そんなあほな!!」と思ったことだろう。

知れば知るほど不可解で、知れば知るほど変な国、メヒコ。あと2週間で今通っている語学学校が終了して、そのあとは今のところ旅でもしようかしらん、などとぼんやり思っている。日本行きのチケットもそろそろ調べないとだめなのだけれど、それがどうしてもできない。だからといって、日本にもう2年半くらいも帰っていないので家族や友だちに会うために、そして自分自身が日本人として、今日本がどうなっているのかその空気を感じて自分の中の「日本」をアップデートするために日本に帰りたい気持ちが強い。だから、このままメヒコにい続けるために働き口を本気で探すということもしていない。まぁ、つまりは、何もしてない、のだけれど、日増しに、「メヒコが好きだーー!!」の気持ちが自分の中で妙に高まっている今日この頃なのだ。

日本や、メヒコ以外に暮らす人たちがこれらの映画を見たらどういう感想を抱くんだろうか。とても興味深い。「Miss Bala」は、2010年の映画で日本で上映されるのかDVD化されているのかは分からないけど、「Sin Nombre」は調べてみると、「闇の列車、光の旅」と言う邦題でDVDになっているようなので、興味のある人は是非見てみてください。


【FYI】
・Miss Bala : http://www.missbala.com/
・Sin Nombre : 闇の列車、光の旅

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