December 15, 2010

風邪

風邪は引き始めが肝心、と言う。引き始めだから「お菓子」の力を借りて治そうと試みるのが私の常套手段である。お菓子といっても、ポテトチップスやチョコレートをぼりぼり食べるのではなく、医療系お菓子を服用するのである。まぁ、早い話がのどによさそうなアメちゃんを買ってなめるのである。日本では、ロッテのカリンエキス配合のどぎつい茶色のいろのあののど飴が私にとってのそれである。それとうがいに塩水や紅茶を使ったり、ビタミンCを取るためにやたらとみかんを食べたりして、忍び寄る風邪を追い払う努力をする。こんな一見ばかげたことでも見事に効くときがあるので、あながち馬鹿にもできない。

のど飴で重要なポイントは、「どぎつい、いかにも効きそうな色」をしている点である。見た目にも、なんか、まずそうで効きそうと言うのが暗示の効果にもなっている。(かも知れない。)メヒコでは、日本のようにキャンディの種類が豊富ではなく、風邪の引き始めは、HALLS(ホールズ)に頼っていた。ホールズもなめるとすっきりするのだが、もう一つパンチにかける。やはり、見た目の色が美しすぎるのではないか、と勝手に私は思っている。

いよいよ本当に風邪を引きそうだ、と言うレベルになったときには、ついに薬局でのど飴を買うことになる。あくまでもアメで風邪を治そうという、精神論レベルの対処法なので、「はよ病院行けよ」と思われることはわかっている。わかっているけど、いやいや、もうちょっとあめちゃんの力を信じましょう、と言うのが人情と言うもの。ここで買うのは、日本でもおなじみ、VICKS DROP(ヴィックスドロップ)である。VICKSドロップなら、間違いないという、変な信頼を寄せているので、暗示も倍増である。

いつもは、Manzana Canela(りんごとシナモン)味を買うのだけれど、今回風邪を引いたときはなかったので、「ミント」とかかれた味を買ってみた。あけてみると、これが待ち望んだ「どぎつい茶色ののど飴」だったんである。メヒコにもこの色ののど飴が売ってあったことがうれしくて、また、これがあれば100人力、と心強さすら感じてしまった。

結局、今回引いた風邪は熱は上がるわで、ぜんぜんのど飴は役に立たず、結局薬を飲んで暖かくして寝ると言うやはり古典的な方法で回復に至ったのだが、どこかでのど飴が心の支えになっていたことはいうまでもない。熱も下がり、のどもあんまり痛くなくなったので、VICKSドロップを放置していた。日本のものと違い、個別包装になっていないのがメヒコのVICKSドロップの特徴である。すると、ありがどこからともなくやってきて、そのVICKSドロップに群がっているではないか。白い包み紙だからだめなのだな、と思い、少し残っていたドロップをアルミに包んで、ありが入ってこないようにかばんの中に入れておいた。すると、今日になって、ありが大行列をなして壁を伝っているので何事かと思い、その行き先をたどっていると、なんとその先にはアルミ箔に包まれたVICKSドロップがあった。ありよ、どうしてVICKSドロップを集中して狙うのだ?!仲間が風邪なのか?!やはり、ありものど飴で風邪を治したいのだろうか、やはり、世界のVICKに頼りたいのだろうか。そんなことをふと考えた冬のある日であった。

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