February 02, 2012

民族衣装

ここのところ、内容が時間旅行をしたようにあっちこっちへ飛んでいるが、今日はまたチアパス旅に戻り、民族衣装のことについて書こうと思う。

私は、GuadalajaraとGuanajuatoに暮らしていた。グアダラハラは、メヒコ第2の都市と言われるほどの大都市。町の中で民族衣装を着た人を見かけることはそう多くない。いたとしても、ウイチョール族の人たちか、路上で民芸品を売っている人たちくらいのものだ。彼らの売っているものが、グアダラハラのあるJalisco(ハリスコ)州ではあまり見かけないものだったので聞いてみると、彼らはチアパスからきているという。グアナファト市は小さな観光都市で、植民地時代にスペインがやってきて、銀山での労働力を補うためにいろんなところから人が集められたという歴史的バックグラウンドがあるようなので、インディヘナ(先住民族)の人たちも、グアダラハラと比較してもさらに見かけない。したがって、グアナファトしないで民族衣装を見かけることは至極まれであった。もっとも、街角でアルテサニア(民芸品)をうっているNayarit(ナジャリ)州から来ているというウイチョールのお兄さんとお姉さんのカップルはいつも民族衣装だったが。

しかし、San Cristobal de las casasにやってきてから、その民族衣装率の高さに驚いた。市場に行くと、女の人はほぼ民族衣装を着ていた。おっちゃんたちは、あまり印象がないので、シャツやジーンズをはいていたと思う。サンクリストバルデラスカサスの近郊には、コレクティーボ(乗り合いバス)を利用して訪れることのできる小さな村が点在している。各村を訪れて、なんかどの村も独特の雰囲気を持っているなぁ、と思っているとそれぞれに民族衣装が違うから受ける印象もことなっていたということに気がついた。女性は、基本的にウイピル(シャツ)と巻きスカート(筒スカート)+帯というスタイルなのだが、デザインや素材が違っていておもしろい。文字でぶつぶつ説明するよりも、旅ノートに絵が書いてあったので、それを使って少し紹介することにする。

1.サンフアンチャムラ

まずは、何度か書いたサンフアンチャムラの民族衣装。サンフアンチャムラをはじめ、サンクリストバルデラスカサス市内でも一番見たのがこのタイプ。

上の服は、腕のところが丸みを帯びた作りになっている。サテンのような滑らかな生地が使われており、色もさまざま。襟のところや、胸の辺りのデザイン、ボタン周り、腕の袖のあたりは、チロリアンテープやきらきらした糸などでデザインが施されている。その上に、 短い丈のカーディガンを羽織るのがデフォルトになっていた。

スカートは、一枚の大きな布状になったものを巻きつけて、帯で縛って固定。色は全員黒だった。絵に描いたのは、けがふわふわの素材のもので、おそらく冬場の防寒用。私が訪れたころは、防寒用ではない普通のものをはいていた人もたくさんいた。

くつは、うまいこと書いていないけど、ビニールの素材の黒いサンダル靴をはだしで履くのが一般的だった。そういえば、靴下をはいている人は見かけなかった。

女の人は、ほぼ黒髪のロングで、三つ編みにしている人たちが多かった。結構いい年のおばちゃんたちも黒々とした髪で、しかも髪質もさらさらだった。なにか塗っているのだろうか??メヒコの水にやられて髪の毛が死去していた私としては、羨ましい限りの健康髪だった。ストールというか、でかい布を肩から巻いていたり、そこに赤ちゃんをすっぽり入れて背中に背負っている姿もよく見かけた。

この衣装はチアパス内でも広く着用されていると思われる。バスに乗っていると、よくこの服が干してあるのを見かけたからだ。また、グアダラハラなどで見かけた人たちも、このタイプの衣装だった。

2.シナカンタン

Zinacantanは、サンフアンチャムラよりも規模が小さくてもう少し落ち着いた感じの村。しかし、ここの衣装はめっちゃくちゃ独特!!まず目が行くのはその美しい刺繍のマント。

大きな花の刺繍が施されたマント?ポンチョ?肩掛け??を女の人はみんなしていた。小さな子どもまでもがいっちょまえに民族衣装を着て町を闊歩しているのである。それが本当にかわいい!!!サイズもその子にぴったりで、毎日来ているので体になじんだ感じがまたさらに良い。やっぱり、民族衣装は、その土地の人が着ると本当に映えるなぁ、と感心してしまう。刺繍の色は、青・紫・水色のものが多く、たまに赤紫のような色の人もいた。

スカートは、チャムラとは違い筒状になっている。はき方は、かなり大きな筒の中にすっぽりと体を入れて、片方から順番に真ん中に向かって折る。その上から帯でぐるぐると巻くのである。

男の人も、同じように刺繍が施されたベストのようなものを着ていた。絵の左上の男の人たちは、お祭りに参加していた人たちで、変わったサンダルを履いていた。

3.サンアンドレスララインサール

ここの衣装は、とても素朴だった。そして、訪れた村の中では一番素朴で(というか、何もなかった。)、いい意味で観光客慣れしていなくてとても居心地が良かった。

襟ぐりと、腕すそのところが刺繍のデザインになっている。おもしろかったのは、その売られ方。服の状態で売られているのではなく、一枚の布の真ん中の方と、端っこの方に刺繍が施されてある。どうやら、その布を買って、自分の体のサイズに合わせて服に仕立てるようだ。私が立ち寄った小さな店のお姉ちゃんとしゃべっていて、私が「刺繍のものを探している」というと、彼女のお母さんがその布を持ってきてくれて見せてもらったのだ。しかし、服を作ることを前提に変わった位置に刺繍があって他のものへの加工が難しそうだったので、買うのを断念。

また違うところで話を聞かせてもらっていると、Mayordomo(マジョルドーモ:世話人)の衣装について教えてもらった。マジョルドーモには、女のマジョルドーマもいるらしく、彼女たちのウイピルの色は赤い。そういえば、町をうろうろしていると、白いウイピルが多い中、たまに赤いのを着ている人がいるなぁ、と気にはなっていたのだ。さらに、マジョルドーマは髪型も独特で、髪の毛をアップにして、頭の上(おでこの前??)でおだんごにするのだそうだ。

男の人のマジョルドーモは、小さな編みバッグを持っていて、赤いストライプの布をはみ出させている。その中には お香などお祭りの儀式に使うものが入れられているとのことだった。やっぱり、民族衣装には、いろいろな意味があって神聖なものなんだなぁ、と改めて感じる。

  サンフアンチャムラのもの以外は、チアパス旅で始めてみたものばかりだった。似ているようで全然違うこれらの衣装。こうして改めて比較してみると面白い。チアパスのサンクリストバルラスカサスの周りだけでもこんなにたくさんの衣装があるとは驚きである。メヒコ全土の民族衣装となると、どれだけの種類になるのだろうか……。想像を絶する。

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