February 17, 2012

San Andrs Larraínzar 1 お店の若夫婦、の巻


サンクリストバルデラスカサス周辺の民族衣装をこの間の投稿で紹介した。サンフアンチャムラとシナカンタンともう1つ、サンアンドレスララインサールである。先に訪れた二つの街よりもさらに遠くで、山間にひっそりとある街だ。

ララインサールには、おもしろい刺繍があるというのと、"1996年に連邦政府とサパティスタ民族解放軍の間でインディヘナ(先住民)の権利と文化について「サンアンドレス合意」が行われた(地球の歩き方より)"街であるというので足を運んでみたかった。サパティスタ民族解放軍については、また改めて書きたいと思うが、語学学校でメヒコの歴史と文化を勉強していた時に「サパティスタ」という存在を知り、とても興味深いと思っていたので、チアパスに足を運んだついでに、サパティスタについていろいろと調べたり見たりしたいと思っていたのだ。

街に到着すると、実際のところ驚いてしまった。街の中心と思しき場所でコレクティーボから下ろされたのだが、小さなソカロとその前に教会があり、境界の向かいが小学校か何かで、ちょうど休み時間だったのかはたまた学校が終わったのか、体操服を着た子どもがわらわらと走り回っていた。特に店があるわけでもなく、あるといっても雑貨店ばかり。刺繍が有名なのであれば、それらしき店があってもよさそうなものだが、一向に見当たらない。とりあえず、と街を歩き始めるも、本当に何もない。こじんまりとしていて、観光客用に整備された様子もない。そんなだから、外国人を見つけて「ペソをくれ」といってくる子どももいない。

てくてくと歩いていると、すぐに街の外に出てしまった。山がたくさんあって、上の方には雲がかかっていて、道のそばで作業している人たちは、アジア顔の私がふらふらと歩いていると興味津々でガン見をしてくる。でも、「Hola~」と声をかけると「Hola~」と返してくれたり、反対に向こうから声をかけてくれたりもする。のどかだ。しばらく歩くと、小腹がすいたので、お菓子でも買おうとお店に入ると、若い女の子が店番をしていた。この子なら、刺繍のものを扱ったお店とか工房を知っているかもしれないと思い話しかけた。もう少し歩けばある、といわれたのでその通り歩いてみたのだが、一向に何かが現れる気配がない。仕方がないので、もう一度店へ引き返して、何もなかったことを報告することにした。

彼女は、22歳でニコラサと言う。戻ると、夫のフアンもいた。2人ともとても人懐っこくて、私が日本から来たというと、いろいろと質問された。「日本」というフレーズを聞いて、はっっ!!となったのは、夫のフアンくん。

「ちょっと、こっちに!!!」

と連れて行かれた先にあったのは、ニッサン車。メヒコで一番見かけると言っても過言ではないTSURUという車であった。日本では、ニッサン・ツル という車種はないけれど、実は日本でサニーという名前で売られていたものである。メヒコでは、このニッサンサニーことツルが、タクシーに使用されていることが多いので本当に各町でそこらじゅうで走りまくっているのだ。"メヒコで一番見かけるといっても過言ではない"というのはそういうわけである。

「TSURUって、日本語では鶴という意味やで」

と教えて、紙切れで鶴をつくって見せてあげた。すると、びっくりしつつも、更なる「未知の国日本」への質問をぶつけられた。中でも、「兄弟が少ないこと」や「名前が短いこと」に驚かれた。

名前が短いのには本当によく驚かれる。メヒコの人たちは、名前は1つだけの人もいるけど、大体の人がミドルネームももっていて、さらに名字については父親と母親の名字を両方名乗るので、とにかく名前が長い。そのくせに、私が持っていた携帯電話は登録できる名前の文字数が少なすぎるので困った。ファーストネームは結構同じ名前の人が多いので、名字まで入れたいのに、長すぎて入りきらないのである。

反対に私が驚いたことには、「ここの住所は何??」と聞いたら「??」となっていたことだ。前にも書いたことがあるかもしれないが、メヒコではあまり郵便というものがポピュラーではない。人に手紙を書くという習慣がないのだ。誰かに何かを伝えたい時は、電話をして済ますんだそうだ。もっとも、最近では携帯のメールや電子メールでやり取りすることが多いという。以前、お世話になった友だちに手紙とCDRを送ったことがある。彼女は22歳なのだが、「生まれて始めて手紙をもらった!!」と興奮気味に知らせてくれて、私はといえばそのことに逆に驚いたことがある。

彼らと話すのはスペイン語だが、彼らはツォツィル語ユーザでもあるので、簡単なあいさつとかを教えてもらった。

・すごい = chido = レックホイ
・まじで? =en serio? = メレル
・何? = que? = クシー?
(日本語、スペイン語、ツォツィル語)

ツォツィル語のスペルがわからないので、カタカナで書いてみたが、スペイン語と全然違う!!!う~ん、バイリンガルだなぁ~。聞いていると発音の仕方も、スペイン語とは結構違う。こうしてみると、メヒコにはバイリンガルの人が多い。(特にインディヘナの人たち。)これにさらに英語や他の言語をしゃべれる人がいるんだから、脱帽である。

そういえば、彼らに住所を聞いたくせにまだ手紙を送っていない。送ってみようかな。はたして、郵便やさんはいるのだろうか……。

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