June 21, 2010

あいさつ

「こんにちは」を英語で言うとすると"Hello"、スペイン語なら"Buenas días, Buenas tardes, Buenas noches"。友だちや親しい人に言うときは、それぞれ"Hi, Hey"、"Hola"という単語がある。日本語に訳すと「やあ」だよと教えられたものの、友だちに向かって今までに一度でも「やあ」などと呼びかけたことがあるだろうか。……私は、ない、と思う。友だちと待ち合わせをしていて、出会った。「遅れてごめんー!」とか、「こっちこっち!」と手招きすることはあっても、出会い頭に「やあ!」はない気がする。

メヒコでは、「Hola!  Buenas días/tardes/noches, como estás?(やぁ!おはよう・こんにちは・こんばんは。元気??)」が誰かとであった時の決まり文句のように使われている。それの返事は大体"Bien bien, y tú??(うん、元気元気。君は??)"そして、"Tambien bien, gracias!(うん、元気、ありがとう!)"と続くのである。親しい人とは、これにさらにbesito(ほっぺにチュウ)やabrazo(ハグ)も加わる。この動作は「会えてうれしいよ!!!」を示すためだと思う。日本語に書き直してみるにつけ、やはり違和感を覚えずにはいられない。ましてやほっぺにチュウなんてありえない。少なくとも、ありえたことがない。スペイン語では何の不思議もないのだけれど、日本人の友だちと日本語でこの出会い頭のあいさつのくだりって、しないなぁ、とふと思ったのだ。「久しぶり~、元気??」とか「おはよう」は言うけど、改まってあえて「こんにちは」って言わないなぁと気付いたのだ。

しかし、私はこの一連のやり取りがとても好きだ。というよりは、そのほかの会話がおぼつかないだけに、あいさつくらいスムーズに出来るとうれしいのだ、といった方がいいかもしれない。でも、実際にこのあいさつはリズミカルで、言うと元気になる。前に、"まあまあ"という返事をしたら"そこは、うそでも、いつでもbien bienって言わないと!!"と言われてしまった。

このあいさつ一つを取ってみても、わかるようにメヒコは感情をとても率直にあらわす国だと感じる。感情をあらわにすると言うことは、人間味に溢れている、と言い換えることが出来るかもしれない。人間くさいここの国の人たちには時間がゆっくりと流れていて、何があってもそれを「まぁ、しゃあないんちゃう??」と受け入れてくれる。逆に文句を言うと、それも「まぁ、しゃあないやん。」と返されてしまう。この「しゃあないな」がまかり通ることの心の豊かさ、人間の素朴さがメヒコのいいところだなあと私は思う。このどストレートさが日本語に無いことを、私は残念にも思うし、そこが日本語らしいところだと納得もしている。「やあ!こんにちは!!元気??」という日本語が変に聞こえるのは、訳がおかしいのではなく文化の差異である。それならば、すんなりくるにはなんていえばいいのだろうか。「どうも~、元気してる~??」だろうか。でも、友だちに「どうも~」ってあんまり言わない気がする。だいたい「どうも~」ってなんなのだ。ああ、文化と言語は奥が深い。

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