June 13, 2010

本のこと、雷のこと

どうやら、今年も雨季に入ったらしい。というのも、さっきから雷が鳴り響き、雨がざあざあ降っているのと、停電してかれこれ1時間半近く立つ。風が強くなってきたな、と思っているといきなり家中の電源が切れた。今日は一日中猛烈な眠気に襲われて、ダラダラと家の中で過ごしていたので、少しは外の空気も吸ったほうがいいなと思ったので、屋上に行って本を読んできた。

遠くの空は既に真っ暗で、その反対側の空は、夕焼けがきれいだった。変なの、と思いながら、ごうごう風が吹いている中、小一時間読書をした。ゆっくりと黒い雲が近づいてくるのがわかって、本を読むというよりも、空を眺めていた時間のほうが長かったかもしれない。部屋に戻っても、電気は回復していなかった。まぁ、仕方がない。仕方はないけど、することもない。そういうわけで、暗闇の中かろうじで充電の残っているパソコンに向かってこの日記を書き付けているというわけだ。iPodも充電があるので、室内には音楽も流れている。すごいなぁ、電気をためておく技術と言うものは。

でも、電気がなくなったとたんに家の中の機能はほぼ麻痺してしまうのが事実だ。テレビはもちろん、インターネットすら、電気の力を使っているのだから。本当、なくなって改めてその便利さと言うか必要さを痛感してしまう。

昨日、ポストを見ると久しぶりに私宛の手紙が届いていた。少し厚みのある封筒で、それを見るなり差出人を見なくてもあかねちゃんからのものだと確信した。数週間前に、あかねちゃんとSkypeで話しているときに、私に荷物を送ってくれるという。なんでも、カナダにはブックオフがあるらしく、そこで小林聡美さんの本を片っ端から読み漁っていると、その中にメヒコの旅行記があったらしい。その地で暮らしている私にもぜひとも読んで欲しいから送る、と言うわけだ。カナダは、メヒコと同じ大陸だし、郵便なんてすぐに届くわ、と思っていたら大間違い。以前、同じくカナダ在住のクラフトアーティストからペンダントを購入したのだが、その荷物の届かないこと届かないこと……!!!1ヶ月以上かかったのではないか、ずいぶんとやきもきした経験がある。あるいは、アメリカのシアトルから全く同じ条件で(同じ日に同じポストから)投函したという2通のはがきが1週間差で届いたこともある。だからそれ以来、同じ大陸だからと言ってすぐに手紙が届くなんていうことは起こりえないと思うようにしている。そうすると不思議なもので、2~3週間かかったはずなのに、「おお、もう来たのか!!!」という気持ちで受け取ることができた。あかねちゃんに届いた旨知らせると、「やっとか!!」という反応だったので、私の感覚が緩やかになっていることを客観的に示された気がした。


さて、その本のタイトルは「ほげらばり」というもので、そのメヒコ旅行をされたのは小林聡美さんが28歳の時、つまり今の私と同じ歳だったということになる。私は、本を読むときはあとがきや解説があると、どうもそっちから読んでしまうたちで、たまに本編のネタばれ的なことが書いてあってあぶないあぶない、と読むのを止める。この本の解説は歌手の井上陽水氏で、これがなんとも素敵で、本編を読む前に既ににやにやとしてしまった。さすが、言葉を扱う仕事をしている人だなあという感じで、一切メヒコ旅行記についてはふれていなかったけれど、それがなんだか逆に十分すぎるほど本編を解説しているような気がした。旅行記と言うものは、それを体験した人の感じ方や考えを伝えるものだから、その書き手を魅力的に紹介することで、その旅行記の魅力が増すのだろう。

小林聡美さんの書く文章もまた素敵だ。具体的に何がいいのかと言うと、それはやはり自然なところだろう。体験したこと思ったことをそのまま伝えているところがいいなあと思う。特別なところにいったからといって、特別褒めちぎるわけでもなく、感じたことをそのまま。だからよんでいると、小林さんと一緒に旅行をしているような気持ちになった。まぁ、自分の財力では、あんなふうに旅行はできないな……と言う気もするけれど。それでも、同じ目線にたってこの本を読めたのは、彼女によって切り取られた「瞬間」を読む(見る・感じる)ことができたからかもしれない。ある対象を、おもしろいとか、おもしろくないとか、いいとか、くだらないとか、うれしいとか、がっかりだとかいちいち感じ取ることができるその感性が本当に素敵だと思う。

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さて、ここまで書いたところでいよいよパソコンの充電もなくなりさらば文明。残された道は、原始的に早寝。ただでさえ昨日は朝遅く起きたり、転寝をして昼間もうつろうつろしていたのに、夜まで早く寝ることになるとは。一日中寝ていたな、本当。……というわけで、必然的に朝早く目覚めたわけです。今6時半なので、ワールドカップのアルゼンチンvsナイジェリアを見ている。実況は、ほぼ何をいっているか判らないけど、「メッシ」と言うのだけ鮮明に聞き取れる。そして、この実況の人は、メッシを連呼しまくっている。太陽が昇る前から活動するなんて、長い一日になりそうだ。

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