June 01, 2011

移民

たまげた。タイトルの移民問題についてである。

その後、同居人の男の子とは結構しゃべるようになって、驚くべきことに、彼を語学学校に復学させることに成功したのである。メヒコ人の両親を持っているけれど、アメリカで育ったためにスペイン語は彼の第一言語ではない。(とは言っても、私よりはかなりレベルは高い。)しかし、完璧にしゃべれているのかと思いきや、まだまだ修行が必要らしく、基本的に俗に言うSpanglish(スパングリッシュ:英語とスペイン語のちゃんぽん)でしゃべっていることが分かってきた。前にも言ったように、会話のクラスは一人で受けるよりも誰かがいたほうが絶対にいいので、修行が必要だという同居人を巻き込めばお互いにメリットがあると思い、同居人のいとこである学校のディレクトール(一番えらい人)に、「ちょいと彼に会話のクラスを取るように言ってもらえませんかねぇ~」と頼んでみたのだ。言ってから、ちょっとノリで言ってしまった感は拭えないし、普段から「もう語学学校にはもどらねえ」「宿題はしねえ」宣言をしている、言っても18歳の男子である。このアイディアがばれたら本気でしばかれる……!!!とひやひやしたけど、家に帰ってきて宿題をしている私に向かって、

「おい、来週からクラスを取ることになったから!!」

と報告してくれた。

前置きが長くなってしまったけど、そういう経緯で今週から会話のクラスを一緒に受けている。(いつまで受けるのか知らないけど。)昨日は一発目で、お互いに質問をしあう、と言うベタなアイスブレイキング的なレッスンだった。私にしてみれば、「なぜ家族と離れて、メヒコに住んでいるのか?!」というのがとても気になっていたので、質問はそこに集中した。

いろいろ聞いていると、彼はアメリカに不法移民として住んでいたらしいと言うことが分かった。両親は彼よりも長く住んでいるので、いわゆる"Paper"(合法滞在のための書類。ビザ??)があり、妹たちはアメリカで生まれたのでアメリカ国籍だか市民権だか知らないけど、とにかく住む「権利」と言うものが保障されているのだそうだ。問題は、同居人である。彼はメヒコで生まれたので、住む「権利」と言うものがないらしく、15年住んだのでアメリカには住めなくなってしまったらしい。ややこしいことは分からないけれど、また2~3年すれば住む「権利」が復活するらしいのだが、ちょっと、待ってくれよ、である。

ちょっと待ってくれよ、はもちろん、アメリカに対してである。いくら不法で暮らしていたとはいえ、「15年経ったから、もう住めないよ。さあ、国に帰りなさい。」はひどくないか?!そこで生まれた人は何も問題なく住めて、生まれた場所が違う国だからと言うだけで、帰してしまうのはあまりにもひどい。別に不法入国や滞在に賛成しているのではなくて、「そのあと」のことがちゃんと保障されていないところに疑問を感じる。大人になってからではなく、子ども時代の15年は長い時間だ。いきなり、「本国」と言われても、文化も言語も教育も違うところに放り込まれるのと同じこと。そこでどう生活を始めろというのだろう。(大半は家族や親戚を頼っていくのだろうが。)アメリカで高校を卒業していても、メヒコではそれは通用しなくて、例えば大学に入ろうと思えばメヒコの高校を卒業していないとだめなんだそうだ。なんだか、当人にとても不利な条件だらけではないか??ポジティブに考えれば、育った国と違う国で暮らすチャンスととることもできなくもないけど、もしも住む「権利」があったら、どちらか選択できる。選択肢が無く、育った国を離れるのとは雲泥の差である。

ううううううん。

なんだか納得がいかない。別の友だちに、同じくメヒコ人の両親を持っている子がいる。彼女の両親もまた不法移民としてアメリカにやってきたらしい。彼女はアメリカで生まれたのでアメリカ人として問題なく住めるのだが、両親は長いことグリーンカードを取得できなかったんだそう。

不法移民の問題はアメリカでは大きな問題だ。前述の友だちは現在、アメリカに暮らすヒスパニック系の子ども(中学生・高校生)がきちんと学校を卒業できるようにサポートする仕事をしている。残念ながら、ヒスパニック系の生徒たちの学校のドロップアウト(退学)率は、白人系の生徒たちよりも高いのだそうだ。理由の一つに、ここでも「言語」が挙げられる。家やヒスパニック系のコミュニティではスペイン語が話されているので、英語力が追いつかなくなる現実がある。ドロップアウト率が高いのと同時に、高等教育(大学)進学率も低いのだそうだ。これらの現状は、個人で解決できることではないので、国や州など自治体をあげて取り組む必要があると思う。チャンスと機会を提供し、移民のコミュニティ全体をサポートしないと、悪いサイクル(低学力、治安の悪化など)にはまる一方ではないかと私は思う。

だから、である。15年だかなんだか知らないけど、いきなり「住む権利」を剥奪されてしまう現実があることに納得いかない。なぜ??日本人の友だちにも10年以上もアメリカの学校で学んだり働いたりしている人がいるけど、その人もいまだにずっとアメリカに住み続ける「権利」を持っていない。その間きちんと税を納めたり、国に貢献したりしているのにである。そうかと思えば、アメリカ人と結婚すると住む「権利」が簡単に(現実には各種手続きがあって簡単ではないのかもしれないが。)もらえたりする。

わからん。わからんぞ。

全ての人は平等ではないのかい??

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