November 02, 2010

El panteón

11月2日は「死者の日」である。去年は仕事が休みだったのに、今年は休みにならず……。ううっ、泣ける。この「死者の日」ほどメヒコらしい行事もないと言うのに。死者の日と言うとおどろおどろしいけれど、日本で言うところの「盆」のような行事でで、その目的はご先祖様の魂がこの世に帰ってくるので、お祝いしましょうと言うことである。

もっとも違いが顕著に現れるところは、やはり墓場だと言える。日本のお墓はじめじめしていると言うか、なんだかこう、陰気なイメージが付きまとう。しかし、メヒコのお墓は一言で言えば「白い」という形容がよく似合う気がする。そんな白いお墓が、この死者の日にはマリーゴールドの花でオレンジ色に飾られるのである。メヒコの中でも、ハニッツィオ島やオアハカの死者の日は殊に盛大に行われるらしい。かといって、私が住んでいるグアダラハラでは全くかというとそういうわけでもない。

理想としては、11月2日の当日にぜひとも見に行きたかったけれど、調べてみると、墓は11月2日に向けて年間を通してきれいにされ飾られるのだという。ということは、当日でなくても、死者の日の前の週末に墓を訪れればおもしろいものが見られるかもしれないと思いついたので、のこのこと出かけてきた。

予想通り、ちらほらと墓がかざり付けされているところがあり、まさに墓参りといった家族連れもたくさんいた。日本の墓参りと同じく、墓石に水をかけて掃除して、花を添えてきれいにかざりつけがされる。しかし、決定的に違うなぁ、という点は、

その1、家族が墓石に腰を下ろしてくつろいでいるということ。
その2、はげた墓にペンキで色を塗ってきれいにしていると言うこと。

である。日本の墓参りでは、「墓をきれいにする」がメインな気がするが(といっても、あまり日本で墓参りに行ったことない私ではあるが。)、メヒコでは、訪れた家族が故人を偲んで墓に結構長い時間滞在するようだ。そのため、墓石に座って、しばらく家族団らんのように時を過ごしている姿が印象的。また、カトリック大国なので、聖書か何かを読んだりしてお祈りをささげている人もいた。去年見かけた風景では、マリアッチや音楽の演奏もあった。これは、故人を偲ぶためにその人の好きだった音楽をみんなで聴くと言う意味があるらしい。

去年は、死者の日当日に行ったので、見かけることはなかったのだが、今年見かけてびっくりしたのが墓石を塗りなおすと言う行為である。日本の墓石はだいたいねずみ色と相場が決まっている。メヒコの墓は、白い。カトリックの国なので、十字の形のものがほとんどである。最近はどうか知らないが、土葬なので墓石以外にも棺を入れるためのコンクリートの部分がありそこも白い。でも、雨風にさらされているとぼろぼろになるので、それを白く塗り直さなければならないらしいのだ。もう誰もお参りに来てくれることもないような古い墓は、朽ちてぼろぼろになっているけれど、まだ家族がお参りに来てくれる墓は、きちんと白く保たれている。11月といえども、昼間の太陽の光はかなりきつい。そのまぶしい太陽にそんな白い墓石が照らされているから墓地のイメージが「白い」なのかもしれない。

そんな白い墓に、マリーゴールドのオレンジの花があちらこちらにかざられている様子を想像してほしい。これはなかなか、息を呑む光景である。

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