November 02, 2009

ブリトー

メヒコに暮らすことになるのが決まって楽しみにしていたメヒコ料理の一つ「ブリトー」がある。ブリトーは、皮の中に肉やらご飯やら野菜やらが入っているという、日本で言うところの手巻き寿司のような食べ物である。オーストラリアでもアメリカでもこの「ブリトー」はメヒコ料理としてでかい顔をしていた。

アメリカに行ったときに、友だちにWhole Foodsというオーガニックスーパーマーケットに連れて行ってもらい、「ブリトー」を買って食べた。いろいろ入れてもらって、アルミホイルで包んでもらうと、「これはダンベルですか?!」というくらいの重量級食品で、これがめちゃくちゃうまい。メヒコのお隣の国アメリカでこのうまさなんだから、本場はもっとうまいに違いないと期待に胸を膨らませてやってきたものの、どこにもこの私の知っている「ブリトー」とやらは見つからない。

これはきっと、「カリフォルニアロール」的なもんで、ベースこそ日本だが他国でアレンジされて幅を利かせている代物なんだな、とブリトーが食べられない無念さに折り合いをつけて過ごしていた。そして、夏に友だちの結婚式のためにアメリカに行ったときに、「何か今回の滞在で遣り残したことはない??」と最後に聞かれて「ブリトーが食べたい……!!!」をリクエストして連れて行ってもらった。

ところがところが、ついにこの恋焦がれた「ブリトー」にここメヒコにて再会できたのである。この間タコスを食べて帰ろうとしたら、その日はもう店じまいとのことで、代わりに気になっていた軽食堂へ行ってみることにした。いつ見てもがらがらのくせに、ある日貸切でフィエスタ(パーティ)をしていたなんとなく気になっていた店である。人々がほおばっているのは、ブ、ブリトー!!!まさかこんな近くにブリトーを食べられるところがあったなんて、灯台下暗しもいいところだ。店の人はみんないい人だったが、やたらと物を落としまくっていた。おばちゃんは、フォークやらボールやらをがちゃこーんと落としていると思いきや、おっちゃんは鍋を落としていた。しかもその中にブリトーに入れる用の米がはいっていた。どうするのかと思いながら見ていると、米を作り直すでもなく普通に手際よく作っている。そして、

「ちょっと今日は米が少ないけど、今度来たときは米いっぱい入れてもっとうまいからな!!」

と、米をこぼしたことに悪びれる風でもなく持ってきてくれた。(その辺の陽気さはザ・メヒコ。)そのかわりに、肉をたくさん入れてくれたらしく、ボリュームは抜群で、あのずっしりとしたダンベル感もあって私としてはにやにやがとまらなかった。しかも、めちゃくちゃうまい!!!サルサ(ソース)も小皿に入れて盛ってきてくれて、それをつけながら頬張った。それも辛すぎず絶品。メニュー(壁に1枚画用紙で書かれたのが張ってあるのみ)をみると、「カリフォルニア風」と書かれていた。どうやらやはり、ブリトーと言うものは、伝統的なメヒコ料理ではないようだ。でも、おいしいので、どこの何でもいいのだ。近くにブリトーを食べられる店があるということがわかってめでたし、めでたし。


とりあえず、忘れずに写真を撮ってみたものの、本文に差し込む場所がなかった……。

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