September 06, 2009

アラチェラ

アラチェラとは、牛の肉の部位の名前で、「横隔膜」のことらしい。メヒコに着いたその日に、迎えてくれた人たちにわけもわからず連れて行かれたレストランで、

「肉、いっときますか~!!アラチェラいきましょう~!!!」

と、やけに張り切って「アラチェラ」と連呼されたものだから肉そのもののイメージよりもその人のイメージが強くて、なんとなく食べるのを敬遠していた。

近所に、いつもやたらと混んでいる小ぶりなレストランがあって友だちといってみようということになった。メヒコ人の昼食は日本よりもかなり遅く、2時くらいからはじめるのが一般的。いつもそのレストランの前を正午くらいに通ると決まってスタッフたちがまかないを食べているし、3時くらいに通ると行列ができているしでなかなかいいタイミングに恵まれていなかった。今日は、2時前くらいに足を運んでみるとお客さんがまばらにいて、それでいてまだこみすぎていないと言うちょうどいいタイミング。

狭い店内に、所狭しとテーブルが並んでいて、店員の数がやたらと多い。店員の数がやたらと多いのは、メヒコではどこに行っても感じる。アイスクリーム屋で暇そうな店内に、バイトくん5人くらいが集まって雑談をしている風景などをみるにつけ、こんなにたくさん店員いるんだろうか……と疑問に思うことがある。それはさておき、壁にかかってあるメニューをみると、ハンバーガとトルタス(フランスパンっぽい皮の固いパン)がここのメニューらしい。病み上がりのくせに、「アラチェラ」という単語を見た瞬間、なぜか頭の中で、

「肉、いっときますか~!!!!」

のあの言葉が響いた。スープやおかゆなどをしばらく食べていたから、「肉、ついに解禁してもいいじゃないか……!!!」という誘惑に負けて、「病み上がりに肉」を決行する事にした。しばらくしてそれは、パンにトマト、たまねぎ、レタスがはさまれてあって、例のアラチェラがパンからはみ出した様子で運ばれてきた。この見た目だけでもにやにやとしてしまうのに、一口かじってみると、肉の味が口の中いっぱいに広がって、さらに笑みがこぼれた。結構なボリュームで、半分を食べると、もうおなかいっぱいになってしまった。

でもここで泣く泣く残して帰らずにすむのは、「パラジェバール」というサービス。メヒコでは、レストランで食べ残したものは何でももって帰れるのだそう。「パラジェバールお願いします」と言うと、サンドイッチでもスープでもとにかく何でもお持ち帰りの状態にしてくれる。ありがたいことです。

アラチェラを堪能したわけですが、その後起こった下痢が「病み上がりに肉」という暴挙の結果であることは、否めません……。

No comments:

Post a Comment