September 13, 2009

mew

金曜日、二つの「はじめてのこと」を経験した。

まず一つ目は、「シティオ(タクシー)に乗ること」。タクシーは、ぼったくられそうで怖い、との理由から今まで避けていたけれども、今回はどうしても乗らなければならない事情があり友だちと乗った。いつもは黄色い車体のシティオは腐るほど走っているくせに、いざ必要な時には全然見当たらない。しかも夜なので、止めたい側も、運転している側も気付きにくいのだ。何とか車を止めることに成功したものの、運転手は私たちの目的地を知らないと言う。急いでいるのに、しょうもないのをとめてしまった……、と思いながら断ろうと試みるも、「まぁ、いいからとりあえず乗れ!!」と運転手のおっちゃん。こうなれば、もうどうにでもなれ、と私たちも折れていざ乗車。走り出すと、おっちゃんは他のシティオを見つけるなりクラクションを鳴らして運転手の注意をこちらに向けた。窓はもともと全開で走っているので、他のシティオと併走しながら「おい!○○って、知ってるか?!」と聞いている。この見切り発車に不安になりつつも、もう乗り込んでしまったが最後。「ノープロブレム」と言い張るこのおっちゃんに託すしかない。2台目に聞いた運転手さんが知っていたようで、おっちゃんは「そこならわかるぜ」と車を走らせてくれた。

二つ目の初体験と言うのが「メヒコでライヴに行く」という試み。見に行ったのは、デンマークのmewというバンド。名前は知っていたけど、CDをちゃんと聴いたことはなかった。インターネットを見ていると結構いろんなバンドがグアダラハラに来るらしいことがわかり、さすがメヒコ第2の都市、と感心していた。10月に日本のバンドもツアーで来墨するらしい。同時期に二人の友だちからその情報をもらって、一人には「お前は日本人として彼らをサポートするべきだ」と言われるし、もう一人にも「めっちゃおすすめ。絶対に行くべき!!」と言われていた。それまでに何か一回行ってみるのも面白いかも、と友だちと話していたら、あれよあれよとのりで「行こう!!!」と言うことになったのだ。チケットマスターにチケットを買いに行ったり、前日に必死でCDを聞いてみたり、これのために今週一週間をがんばったといっても過言ではない。だから、これに遅刻するわけには行かなかったのだ。仕事が終わるのが8時半。ライヴの開始は9時。会場は隣町。どれくらい遠いか見当がつきにくい。しかもはじめてのシティオ。間に合いたいけど、ぼったくられるのも絶対いやだ、と結構プレッシャーまみれ。でも、ライヴにいけるという興奮はおさえきれない。

運転手のおっちゃんにちゃんと値段を確認して、意外と安くいけることがわかって「初シティオ乗車」は無事に成功。さて、会場に着くとそれらしき人がたくさんいた。というか、普段見ているメヒコ人よりも、おしゃれさんが多くてびっくりした。「メヒコとデンマーク」というのがあまり結びつかないし、マリアッチ以外の音楽を好むメヒコ人がこんなにもいるのか!!!!!(これは偏見か?!)と、その人の群れを見て目を丸くしてしまった。身分証明にわざわざパスポートを見せるのが少し面倒だったけど、腕にリストバンドをつけてもらってご入場!!!

ちょうど開演時間の9時くらいだったけど、まだたくさんの人が外にいた。それでちょっとほっとして、ほっとしたら腹が減ってきたから、ホットドックで腹ごしらえをした。ソーセージだけがぽんと乗ったホットドックを手渡されて、自分でたまねぎとトマトをこんもりトッピングして、ケチャップをかける。このホットドックがうまいんだ。会場に入ると、オープニングアクトとして他のバンドが演奏していた。ああ~、生の音楽!!!!やっぱりいいなぁ、と気分がとてもよくなってきて、そのバンドをビール片手に観賞。最高だ。

前座がはけて、mewまではしばらくセッティングの時間。徐々に前の方に詰めていく。つめていくうちに友だちと結構場所が離れてしまった。会場に私たち以外アジア人の顔立ちの人は見当たらない。ということで、相当目立つのか、一人でまっていると4人組のメヒコ人に声を掛けられた。日本人だと言うと、「鋼の錬金術師が好きだ」と教えてくれたり、日本語で自己紹介をされたりした。本当、対日感情がよくてとても助かる。日本人だといって怪訝な顔をされたことは、今のところまだないと思う。ホットドックを買ったときに前にいた兄ちゃんがたまたま近くにいて「お前、連れはどうした?!」と聞かれたから「あっちらへんにいると思う」と言って友だちに「おーい」と声をかけると、モーゼの話のように人がずざざっとスペースを開けてくれて、また合流することができた。ライヴなんてどうせ途中ではぐれるから、別に気にしていなかったのに、他の人たちが気を使ってくれてびっくりした。そういえば、やたらカップルできている人たちを見かけた。必ずといっていいほど、彼女の後ろに彼氏がいて、他の群集から守りながら観ている、と言う感じだった。

mewが出てくると、会場のテンションも一気に上がった。私はCDを間際にちょこっときいただけのにわかファンだったけど、音楽にあわせて体を動かすのはやっぱり楽しい!!!!!めちゃくちゃ気分がよくて楽しかった。あんまり予習していってなくて、バンドをはじめてみて、それがいいバンドだった時、「あああああ、もっとちゃんときき込んでおけば良かった」と思うが、今回もそうだったので無知すぎて行ったことを少し後悔。会場では、多くの人がシンガロングしていたことに、とても驚いた。デンマークのバンドのうたを、メヒコ人が、英語で一緒に歌っている。なんか、普段の生活上で見るメヒコ人からは想像もつかなくて、とても意外に感じた。

それにしても、金曜日のライヴは最高だ。一週間を締めくくる日な上に、次の日は土曜日で休みなのだ。思う存分遊べる。結局、mewのライヴが終わったのは日が変わったころ。日本のライヴは開演も早いので、10時くらいには終わっていることが多いから、日付が変わるころまで楽しい時間が続くというのは私にとって新鮮で、終わってからもにやにやが止まらない。

帰りのシティオは、深夜料金とかで高い値段を吹っかけられたけど、「安くしてくれ」と値切り交渉で行きしなの値段と200円くらいしかかわらないくらいで走ってもらえることになった。今まで歩いているだけで「おい、乗らないか?!」と声をかけられたり、かなりびびっていたシティオだけど、そんなにびびることはないかもしれない。ちゃんと交渉して支払う額を明確にしておけば、日本でタクシーに乗るよりもずっとずっと安くて、車を持たない私たちにとってこんな便利なものはない。

 ああ、やっぱりライヴは楽しい。夜に出歩くのは楽しい。

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