August 01, 2010

Creel 3 : タラウマラ人


クリール近郊には、タラウマラ人と呼ばれる先住民族が暮らしている。彼らは、農業や放牧などを営む昔ながらの素朴な暮らしをしている。洞窟に居住している人たちもいて、その居住区域は保護区域に指定されている。彼らの手作り工芸品はとても繊細で美しかった。織物、かごを編んだり、木で何かを彫ったものがいたるところで見られた。彼らの着ている服も全て手縫いで作られている。クリールの街には、Casa de las Artesanían del Estado de Chihuahuaという博物館があって、彼らの文化や歴史を見ることができる。

彼らの居住区域とされているところに入るには、入場料がいる。アミューズメントパークかされているわけではなく、そうして彼らの暮らしが営めるように保護されているのだった。そこに広がる景色は、本当にのどかでトウモロコシ畑が広がったり、家畜が放牧されてあったり、色とりどりの服の洗濯物が風にはためいていたりとのどかそのものである。このような風景を見るにつけ、人間の心の豊かさがここにはあるんだな、と感じた。

しかし、彼らは本当に豊かな暮らしをしているのだろうか、と尋ねられれば答えに窮してしまう。彼らは経済的にはとても貧しいという現状があるからだ。観光客が訪れる湖のほとりには物売りとして子どもたちがたくさんいた。彼らは、まず自分たちのてに持っている品を買わないかと声をかけてくる。それを断ると、今度は「ペソ(お金)をくれ」といってくる。それも断ると、「ポテトチップスをくれ」と言う。他の街でも物売りの子どもに出くわすことはあったが食べ物をねだられたのは初めてだったのでびっくりした。持っていたリッツをあげるとうれしそうな顔をしてほおばっていた。本当にお腹がすいているのだろう。

友だちが、お菓子をねだってきた子どもに「食べな!!」と勢いよくパッケージを差し出すと、その子どもはぐわしっと、遠慮なくお菓子をわしづかみにしてとっていくものだから目が点になってしまった。さらに、「……ジュースもくれ。」といってきた時にはたくましさを通り越してがめつさなるものも感じずにはいられなかった。

なぜ彼らは経済的に自立していないのだろう。と言うよりもむしろ自立できない理由の方が大きいような気がする。彼らの生活スタイルは、現代社会では置いてきぼりを食らっているのかもしれない。自給自足の生活では、お金と言うものが発生しづらい。しかし、ひとたび居住区をでるとそこはお金がないとモノを買うことができない社会である。彼らののんびりとした生活を素敵だなあ、と思う一方でこのような厳しい現実を見せ付けられると複雑な気持ちになる。

でもやっぱり、目に焼きついたのはこのような時間に縛られない彼らなのである。


【牛と牛追いおばちゃん】

【お母さんたちはかごを編み、子どもたちはその脇で駆け回っていた。小さい子どもがさらに小さいこの面倒を見る。】

【作ったかごを並べて売って、その横で犬もあくび。】

【さまざまなサイズやデザインのかご。出来立てはいいにおい。】

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