August 05, 2010

Los Barriles


カボサンルーカスを後にして、向かった街はLos Barriles(ロスバリーレス)。ロスバリーレスには、何もなかった。海以外に何もなかった。バスを降りるとこの風景で、宿もなさそうなので途方にくれて歩いていると、野犬があらわれた。1匹がほえると、連鎖反応のようにどこからともなく野犬がぞろぞろと集まってきた。野犬は数がそろうとなかなかのど迫力である。ひやひやしながら野犬エリア(といっても、街全体が野犬エリア。)を抜けて舗装された道に出て宿探しを続行。

ロスバリーレスで一番困ったことが、この宿探しである。結局、泊まったのが名もあるのか無いのかよくわからない不思議な「貸し部屋」。宿はないし、あっても高いのでどうしたもんかと困りながらも腹は減るので、コンビニで腹ごしらえをしていた時に、友だちが地元のおっちゃんと思しき人に話しかけられて事情を話した。すると、

「レンタル部屋。1晩400ペソ」

という看板のところへ連れて行ってくれた。そして、特に頼んでもなかったのに

「じゃ、おまえら一晩300ペソでいいってことになったから」

と値引き交渉までしてくれた。あ、ありがとう親切なおっちゃん……!!!!しかし、印象的だったのは、この街の中年男性、つまりおっちゃん世代の人は必ず1人1匹犬を引き連れていたことだ。首輪も何もしていないので、飼い犬なのか、犬がついていっているだけなのか、それすら余り定かではないのだけれど、本当に漏れなく「1おっちゃん1犬」で街を歩いている姿を見かけた。野犬が増えすぎたから、おっちゃんが1匹は面倒を見なくてはならないとか言う条例でもあるのか、と推測してしまったほど。

その「貸し部屋」は、お世辞にもきれいなところとはいえなかったが、荷物が降ろせることがうれしかった。荷物を降ろしてさっそく海へ行った。この街も、まだまだカボサンルーカスほどではないけれど、アメリカ人の余暇用みたいな高級なホテルがあった。海に行くにはそのホテルを突っ切った方が早いので通り抜けを試みたら、なんなく成功。ホテル内のプールエリアやプールバーエリアを抜けると砂浜が見えた。


さらに歩みを進めると、何もなくて、誰もいない海が眼前に広がった。この景色を見た時に、ああ、ここにきてよかった、と心から思った。宿が見つからなかったり、野犬に囲まれたりしたけれど、透明すぎるこの海を見たら全てがどうでもよくなった。水もカボサンルーカスよりも冷たくなくて、気持ちがよかった。


もう一つ驚いたのが、野生のカメがいたこと。何かたまに浮き上がってくるなと思っていたら、カメが呼吸をするために海面に頭を出していたのだった。桟橋のところから海を眺めていると、人の背丈よりも深いと思われる水深なのに底までクリアに見えて、カメが行ったりきたりしていた。


晩ご飯に食べたタコスも絶品だった。付け合せの玉ねぎに味がついていて、これがタコス全体の味をきゅっと引き締めてくれる感じ。サイズも、他のところで食べるタコスよりも一回りか二回り大きいのが特徴的だった。

カボサンルーカスで受けたバハカリフォルニアショックも、このロスバリーレスにおいて癒された気がした。

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